大判例

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東京地方裁判所 昭和53年(ワ)10916号・昭53年(ワ)12320号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二そこで本件危急時遺言の効力につき検討する。

<証拠>によれば、遺言者は昭和五三年八月二九日ころには吐血量が多く尿量減つて全身衰弱が目立つてきたこと、翌三〇日の明け方血圧が下がり、呼吸状態も悪くなつたため、酸素吸入の処置もしたこと、同日朝の医師の回診時には、言語は不明瞭で、第三者にわかるようにはつきり答えることは非常に不可能であつたこと、「ごきげんいかがですか」程度のことを聞かれたのに対し、「うん」とか「ああ」とか「苦しくない」「いいえ」とかの返事が言語不明瞭で返つてくる位で、遺言者の方から医師に話しかけたりすることはなかつたこと、質問に対しては答えることはできたが、言葉のやりとりをすることは非常にむつかしく、自分から話しかけることはなかつたこと、同日ころは傾眼状態でうつらうつらしている状態にあつたこと、証人竹中は、同日ころには、遺言者が第三者がわかるようなはつきりした言葉で、本件遺言の内容を話すのは難しかつたと考えていること、が認められ<る。>

右認定事実によれば、本件遺言作成時には、遺言者にその内容を口述する能力はなかつたものと推認するのが相当である。

三よつて、本件遺言は無効なものといわざるを得ないから、原告の本訴請求は正当としてこれを認容<する。>

(古川行男)

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